Amazonは2023年9月4日、アジア太平洋地域において、自然に根ざした解決策1に1,500万米ドルを投資することを発表しました。この資金は、Amazonが2019年に設立した1億米ドルのRight Now Climate Fund(ライトナウ・クライメート・ファンド)から割り当てられます。Right Now Climate Fundは、気候変動に対する強じん性(レジリエンス)や生物多様性の強化のため、自然環境の保全・再生に関するプロジェクトを支援することを目的に設立されました。さらに、プロジェクトに関連する地域社会において、社会的および環境的な利益の創出を目指します。
今回のアジア太平洋地域への投資は、欧州において実施されている、自然に根ざした解決策に関する9件のプロジェクトへの投資に続くものです。日本におけるプロジェクトも投資の対象となり、地域社会や人々の暮らしへのポジティブな影響、そして環境への利益の大きさや具体性に基づいて選定されます。
Amazonのサステナビリティ担当バイスプレジデントであるカラ・ハーストは次のように述べています。「アジア太平洋地域には広大な森林や豊かな沿岸環境があり、気候変動の影響を受け、生物多様性の喪失や土地の劣化という大きな危険にさらされている状況です。この地域を気候変動の影響から守り、生物多様性を保つには、大規模かつ地域に根差した活動が必要であり、Amazonはその両方の投資にコミットしています」
Right Now Climate Fundによるアジア太平洋地域への投資は、Amazonが同地域で行う、サステナビリティおよび脱炭素化に向けた取り組みを補完するものです。Amazonは2019年、The Climate Pledge(クライメート・プレッジ)をGlobal Optimismと共同で立ち上げ、パリ協定よりも10年早い、2040年までにネット・ゼロ・カーボン(温室効果ガス排出量の実質ゼロ化)の達成を約束しています。現在までに、38カ国、55の業界から400を超える企業がThe Climate Pledgeに署名しており、自然環境の保護や脱炭素化技術の実現に向けて、協業を進めています。日本からも、石坂産業、NEC、花王、TBMの4社がThe Climate Pledgeに署名しています。
Amazonはまず、アジア太平洋地域に割り当てられた1,500万米ドルのうち合計300万米ドルを、インドにおける自然に根ざした解決策を支援するために投資します。インドでの最初のプロジェクトとして、Centre for Wildlife Studies(CWS)と協力し、インド・西ガーツ山脈のコミュニティや自然保護活動を支援します。この地域は野生のアジアゾウやトラの世界有数の生息地となっているほか、インド国内に生息する野生生物種の30%以上が生息しており、UNESCOの世界自然遺産に登録されています。Amazonはインドへの300万米ドルのうち、100万米ドルの基金を、CWSの「Wild Carbon」プログラム設立支援に投資します。CWSによるWild Carbonプログラムは1万人の農業従事者を支援し、合計100万本の果樹や材木、薬木の植樹と維持管理を行うものです。
Amazonは、アジア太平洋地域において、自然に根ざした解決策を支援しています。2022年には、コンサベーション・インターナショナルと共に、シンガポールを拠点に気候変動の緩和と沿岸および周辺地域の保護を支援する、インターナショナル・ブルーカーボン・インスティテュートを設立しました。この組織は、東南アジアおよびその周辺地域において、「ブルーカーボン」生態系として知られる沿岸や海洋カーボン生態系の再生・保全を支援します。
欧州においても、Right Now Climate Fundより2,000万ユーロを投資し、自然に根ざした解決策の支援を行っています。欧州でのプロジェクトには、フランスの自然・野生生物再生基金、イタリアの森林再生プログラム、ドイツの都市緑化プログラム、英国の再野生化および植樹プロジェクト、さらにオランダ沖の洋上風力タービンの間に位置する世界で初めての商業規模の海藻養殖場などが含まれます。また、米国では、アパラチア山脈における森林の保全・再生や、ブラジルのアマゾン熱帯雨林の農家を支援しつつ、気候変動対策として森林の再生を行うAgroforestory and Restoration Acceleratorへの投資を行っています。そして、世界の熱帯雨林の保護を目的に、グローバルな官民プロジェクトで10億米ドル以上の資金を調達するLEAF Coalitionの創設メンバーにもなっています。
*1 自然に根ざした解決策とは、森林、湿地、泥炭地、草原などの地域における炭素貯蔵量を増やすために行われる、保全、回復および土地管理の改善活動です。さらに、自然に根ざした解決策により、野生生物の生息地を保全し、生物多様性を守り、水質を改善し、そして洪水リスクを軽減することで、自然界の保護にも貢献します。
※本プレスリリースは、現地時間2023年9月4日に発表されたプレスリリースを翻訳し、日本向けに編集したものです。